営農通信バックナンバー

2026.03.16

ミニトマト

【八街農場】 春先の管理について (ミニトマト)

〇はじめに


少しずつ寒さも和らぎ、日も長くなってきました。

この時期から病害虫対策に加え、生育バランスの舵取りでシーズン終盤まで収量を維持できるよう管理していく必要があります。

また、日射量の増加に伴い、萎れが出ないように対策もしていかなければなりません。

そこで、今回は八街農場で行っている春先の管理についてご紹介します。


〇春先の注意点について


①タバココナジラミの増加が予想される


気温の上昇に伴い、トマト黄化葉巻ウイルスを媒介するタバココナジラミの発生サイクルも早まります。

個体数が著しく増加した後に農薬を散布しても、発生数を抑えるのは困難です。

定期的なモニタリングを実施し、コナジラミの微増傾向が見られたらローテーションを意識した散布を実施しましょう。




②日射量の増加に合わせた栽培管理


日射量の増加に伴い着果・肥大が促進されます。

光合成効率を上げるために、厳寒期よりも葉かきを控えめに行い、葉面積を確保しましょう。

また、八街農場では受光体勢を良くするため、誘引の際に下ろしすぎないよう目印を設置しています。




 ↑柱にマスキングテープで目印を設置。

 誘引の際にはマスキングテープの色で高さを指示。


光合成が活発になると、肥料要求量・給液量も増加します。

トータルの窒素量が少なくならないような肥培管理を行うと同時に、定期的に給液と排液のpHECを測定するようにしましょう。

考え方としては、「排液のEC=ベンチ内のEC」です。

排液ECが高すぎるとベンチ内に肥料の残りが集積していることになり、根傷みの原因となってしまいます。

逆に排液ECが低すぎると、植物へ十分な供給ができていない可能性があります。

 

八街農場では給液EC1.82.0程度、排液ECが給液と同等、もしくは0.10.2程度低い状態を維持するよう管理しています。

 

時期によって給排液のECのバランスが崩れるため、定期的なモニタリングをしながら、

・排液ECが高い→給液ECを下げる

・排液ECが低い→給液ECを上げる

となるように管理しています。

 


CO2濃度を濃くして光合成促進


CO2は光合成の直接的な原料であり、外気に約400ppm含まれています。

植物は夜間に呼吸のみ行い、早朝までは換気窓を閉め切っているためハウス内CO2濃度は外気よりも高くなっています。

これが日中になると光合成によりCO2が消費され、ハウス内のCO2濃度が低くなっていきます。

光合成に最適な濃度は8001,000ppmと言われています(吉田・松本2010)が、日中は換気窓が開くため、

高濃度を維持しようとすると無駄が多くなってしまいます。


そこで、外気と同等の400ppmを維持するように施用を行います。

これにより、換気窓が開いてもハウス内のCO2濃度を一定にすることができます。


八街農場では8:0015:00の間、CO2濃度を400ppmに維持できるよう炭酸ガス施用を行っています。

換気窓が閉じている6:008:00頃は、光合成効率の向上を図るため600ppmと高めの濃度設定にしています。



↑左:CO2発生装置 右:暖房機の親ダクトにつないだ様子




④萎れ対策


最高気温が20℃を上回る日も増えてきました。

ハウス内温度が高くなり、蒸散が活発になることで、萎れが発生しやすくなります。

生長点付近が垂れ下がり、葉がシナシナとしていたら萎れの症状が出ています。

萎れは植物にとって良いことはありません。

週間天気予報を確認して灌水設定を見直すようにしましょう。

必要であれば遮光カーテンも閉じ、萎れの症状が出た緊急時には手動灌水を行います。

植物へのストレスが最小限になるよう、特に生長点の様子を観察することが重要です。

 


↑萎れの様子

 

〇おわりに


厳寒期から暖候期へと移り変わる3月は環境制御が非常に難しい時期でもあります。

また、春分の日を過ぎれば一気に暖かくなります。

設定を都度見直し、植物をよく観察するようにしましょう。