営農通信バックナンバー
- 2025.02.01
ミニトマト
【八街農場】減収を食い止める!黄化葉巻病発生後の対策 (ミニトマト)
〇はじめに
12月号でも掲載したように、今シーズンは全国的にトマト黄化葉巻病が蔓延しています。
千葉県も例外ではなく、げんき農場八街でも対策に追われています。
感染株は根本から伐採し、ハウス外に搬出して処理するのが基本です。
そのため感染数が増えるほど欠株も多くなり、収量の低減に繋がってしまいます。
そこで、今回は、八街農場で取り入れている黄化葉巻病発生後の対策についてご紹介します。
↑トマト黄化葉巻病に感染した株。
矮化(草丈が著しく低い)、葉の縮れ、生長点付近の黄化、節間が詰まる、等の症状が特徴的。
〇 黄化葉巻病の発生後の対策(被害段階別の対策)
八街農場では、黄化葉巻病発生後の対策を、◆感染初期と◆感染拡大期で変えています。
◆感染初期 →伐採して「増枝」もしくは「補植」
1ベンチに対して黄化葉巻病の発生が数本のみに留まる場合は、
株元から伐採した後に増枝、もしくは補植を行います。
優先度は増枝>補植です。
「増枝」とは・・・
健全株の脇芽を誘引し、2本仕立てにします。
上位にある比較的大きな脇芽を誘引すると、高台車に乗りながらの作業が楽になります。
主茎だけでなく脇芽も伸ばしていくため、樹勢の強い株のみ誘引していきます。
欠株を補うには増枝が最も効果的ですが、増収を目的とした増枝は日射量が増え始めてからの方が望ましいです。
大体の目安としては、冬至を過ぎたあたりに増枝を行っていきましょう。

↑増枝後の様子。健全株の脇芽を誘引し、2本仕立てにする。

↑2024/12/23の日射量
( 日の出06:46, 日の入り16:31, 最大日射量532W/㎡, 積算日射量11.39MJ )

↑2025/01/22の日射量
( 日の出06:45, 日の入り16:57,
最大日射量584W/㎡, 積算日射量12.88MJ )
「補植」とは・・・欠株が出た部分を補うために再度植栽を行うことです。
八街農場では、補植のために①脇芽挿し、②苗の購入を行っています。
①脇芽挿し
健全株の比較的大きな脇芽を伐採後のキューブに挿します。
根の活着を安定させるため、別の培地に挿して発根させた脇芽を定植するのも有効です。
脇芽を挿した後はドリッパーを付近に設置して発根を促します。

写真左:脇芽収集後の様子, 写真右:挿し苗後の様子
②苗の購入
苗を新たに購入し、再度定植します。
※病害虫が多発する時期は育苗会社への問い合わせが殺到します。
欠株数の増大が予想されたら早めの対応を行っていきましょう。

写真左:購入後の苗の様子, 写真右:再定植後の様子
◆感染拡大期→収量の確保を最優先し、着果段を残して生長点を止めます。(摘芯)
空いた隙間を埋めるために補植し、ある程度育てた後に健全株と合流させます。

↑摘芯後の様子
※実を全て収穫した株は根本から伐採する
感染拡大が止まらない場合は、全ての株を伐採し、植え替えの検討も必要になってきます。
※増枝・補植・植え替えの全て対策において、コナジラミの新たな発生が抑えられていることが前提となります。
〇春先に向けた対策
2~3月頃から、コナジラミ数は一気に増加してきます。
そのため、この時期から個体数を減らしていくことが重要です。
黄色粘着シートの捕殺数を確認したところ、生長点付近よりも、下葉の方が多く見られました。
こちらの結果から、
・下葉に産み付けられたコナジラミの卵が孵化している
・補植により、若く柔らかい苗にコナジラミが集まりやすい
という2点が予想されます。
気門封鎖剤等、散布時にコナジラミに直接かからないと効果が薄い農薬もあります。
コナジラミが発生している状況では葉かきを強めに行い繁茂していない状態を保つことが重要です。
一度の散布で十分な効果を発揮できるよう、適切な葉枚数を維持しましょう。
また、殺卵効果のある農薬を散布するのも重要です。
殺虫剤により、効果が期待される害虫の生育ステージは異なります。
成虫・幼虫・卵のどの生育ステージに効かせたいのかを吟味し、農薬を選定しましょう。
〇おわりに
トマト黄化葉巻病は発生させないことが一番ですが、発生してしまった後の対応も重要です。
今後予想される被害状況から、どのような対応をとっていくかでシーズン全体の収量も変わってきます。
各都道府県や農林水産省の病害虫発生予測の情報を収集し、早めの対策をとっていきましょう。

