営農通信バックナンバー

2024.12.23

ミニトマト

【八街農場】今作の主要な病害虫対策について (ミニトマト)

〇はじめに


12月に入り、ようやくトマトの害虫発生数は減少してきました。

今年は8月下旬頃に、千葉県内にて病害虫発生予察注意報が発表されました。

過去10年で最もコナジラミの発生数が多く、げんき農場八街でも対応に追われています。

コナジラミの発生は抑えられてきたので、今回は、農場で行った取り組みをご紹介します。

 

病害虫発生予察注意報「トマト黄化葉巻病の発生に注意」について

( https://www.pref.chiba.lg.jp/lab-nourin/press/2024/20240918tyuihou05.html )



〇 トマトの主要な病害虫とは?


◆コナジラミ

白色の吸汁性害虫。体長約0.8 mm

トマトを吸汁するのは「オンシツコナジラミ」と「タバココナジラミ」が知られています。

中でもタバココナジラミは吸汁により、ウイルス性の病害であるトマト黄化葉巻病を媒介します。



写真1(左):タバココナジラミ。千葉日報より引用。

写真2(中央):コナジラミの幼虫。

写真3(右):ススカビ病。幼虫が分泌する糖分により、ススカビが果実や葉の表面に付着。


◆トマト黄化葉巻病

タバココナジラミが媒介する「トマト黄化葉巻ウイルス」によって引き起こされる病気です。

発病初期は上位葉の黄化・縮葉が特徴的で、症状が進むと生長点付近も黄化・委縮し、生長が止まります。

周囲の株に感染が拡大すると低収量に繋がります。

感染や発病に対して有効な農薬(治療薬)がないため、感染を広げないために

罹患株は根本から伐採しハウス外に搬出、土中に埋めるか焼却するのが望ましいです。


写真:黄化葉巻病を発病した株。生長点付近が黄化し、葉が内側に巻く。

   矮化により節間が詰まり、生長が止まる。


〇げんき農場の取り組み


げんき農場八街で実際に行った防除を4つご紹介します。

 

①黄色粘着シートの全棟設置


生長点から30 cm程上位の位置に黄色粘着シートを吊り下げました。

両面が強力な粘着シートとなっており、コナジラミの捕殺を目的としています。

コナジラミの成虫は黄色に誘引される性質を利用しています。

ハウス全体への設置に時間はかかりますが、吊り下げ・交換自体は簡単です。

ビニタイで巻き付けるタイプと、切れ込みを引っかけるタイプがあり、

八街農場では循環扇による風の影響を考慮してビニタイ型を使用しています。

10a当り200300枚設置しました。

 



②防虫ネットの設置


ハウス出入り口に2重の防虫ネットを設置しました。

ドアを開放するタイミングで屋外のコナジラミがハウス内に侵入するのを物理的に防ぎます。

コナジラミの体長は約0.8 mmのため、防虫ネットは0.4 mm程度の目合いのものを使用しています。




③モニタリング


黄色粘着シートを利用し、コナジラミの発生予察を行っています。

ベンチ手前・中央・奥に設置した黄色粘着シートを確認し、捕殺されているコナジラミ数をカウントします。

1週間に1度のペースで行うことで、

・集中的に発生している箇所→周辺の天窓やフィルムの破損から侵入した可能性

・前週と比較して減少(増加)している箇所→農薬散布が上手くいった(いかなかった)

等の情報が得られます。

また、集中的に発生している箇所は重点的な散布を行う等、効果的な散布計画が立てられます。


↑モニタリング用紙。


RACローテーション


農薬を作用機構ごとに分類したコードをRACコードといいます。

特に殺虫剤の作用機構分類表をIRACコードと呼び、同系統の殺虫剤を連続して処理すると、

害虫が抵抗性を発達させ、殺虫剤が全く効かなくなることがあります。

例:神経系に作用するネオニコチノイド系【コード:4A

  筋肉系に作用するジアミド系【コード:28

 ×:有効成分アセタミプリド【4A】→有効成分ニテンピラム【4A

 〇:有効成分アセタミプリド【4A】→有効成分シアントラニリプロール【28

このように、系統の異なるコードでローテーション防除を行います。

 

農薬によっては、【コード:-】と表記されているものもあります。

これは、気門封鎖剤と呼ばれる殺虫剤に多く、薬液が害虫の気門に付着することで、窒息死させる効果があります。

デンプン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、調合油等、粘着性の有効成分を含んでいます。

上記の有効成分が物理的に気門を塞ぐため、抵抗性害虫にも有効であり、連続散布も可能です。

農薬抵抗性をつけないためにも気門封鎖剤を取り入れてみましょう。

 

※有効成分毎に散布可能回数は限られています。防除暦をつけて回数を記録しましょう。

※使用時期・回数も農薬ラベルでしっかりと確認しましょう。

※天敵やマルハナバチ等を使用している場合は影響日数も考慮しましょう。

 

 

〇八街農場で特に有効性を実感した防除例


「黄色粘着シート+気門封鎖剤の散布」が効果的に感じました。

 

背景として、夏秋栽培も多い地域で、近隣からの侵入も多く、

病害抵抗性があり、殺虫剤を散布しても効果が薄かったこともあります。

 

前述の通り、気門封鎖剤は回数制限がなく、抵抗性害虫にも効果があるため非常に使いやすい薬剤です。

ただし、コナジラミに直接かからないと効果は出にくいので、散布の際は、葉が繁茂していない状態で行いましょう。

コナジラミが多く散見された時期は気門封鎖剤の散布を1週間毎に行いました。

その結果、コナジラミの確認数を大幅に減らすことが出来ました。

害虫が増えることで、散布回数も増え大きなコストになってしまいます。

ハウス内で大量発生する前に予察し、予防的防除を行っていきましょう。

 

 

〇おわりに


今回は特にコナジラミ類・黄化葉巻病に関してご紹介してきました。

八街農場では様々な防除により、コナジラミの数が落ち着いてきました。

一方、コナジラミが媒介する黄化葉巻病により、伐採を余儀なくされた株が多い状況となっております。

そのような場所には、罹患していない株からの脇芽を挿したり、増枝することで捕植し、減収への対策を取っています。

コナジラミや黄化葉巻病は収量や売上に直接影響が出る厄介な病害虫です。

発生時期を見定め、予防的防除を徹底するよう心がけましょう。