営農通信バックナンバー
- 2024.11.23
イチゴ
【羽生農場】農薬の運用について(イチゴ)
こんにちは、げんき農場羽生です。
11月になりましたが、羽生ではいまだに涼しい格好で作業をすることがあります。朝夕は冷え込みますが、
日中は暖かいことが多いです。季節の変わり目は風邪を引かないよう、体温調節に気を付けていきたいですね。
今回は、農薬の選び方・使い方について、げんき農場での一例を紹介します。
■使用履歴
げんき農場では、農薬の使用履歴を随時記録しています。
目的としては、使用回数を遵守するためと、連続使用を避けるためです。
農薬は、その含有する有効成分ごとに使用できる総使用回数が定められています。
使用記録簿には有効成分ごとの使用回数を記載するようにし、また必ず使用記録簿と農薬に付属するラベルにより、
総使用回数を確認します。イチゴの場合、親株から苗を切り離してから収穫終了までの期間は、総使用回数を超えてはいけません。

また、同じ農薬を連続使用すると、薬剤抵抗性をもつ病害虫が出現する可能性が高くなります。
特にハダニは世代交代が早く、薬剤抵抗性のつきやすい害虫と言われています。
できるだけ、同じRACコードのダニ剤は連続使用しないようにします。
RACコード・・・農薬の作用機構を分類したコードで、病害虫の薬剤抵抗性獲得を防止する目的で使用されます。
農薬名や有効成分が異なっていても、RACコードが同一の場合は連続での使用を避けましょう。
■環境や混用の影響
農薬によっては混用の組み合わせや気温などの影響で、効果が出にくくなったり、
薬害が出やすくなったりする、といった性質があります。
例えば、ハウス気温30℃超えの高温環境で散布すると、農薬によっては薬害が出やすくなるため注意が必要です。
また雨天時は、植物にかかった薬液が乾きにくいため基本的に農薬散布しません。
湿度が低く、夕方までに散布液が乾く条件が散布に適しています。
また、今まで撒いてない組み合わせで農薬を混ぜて散布する際は、混用事例をインターネットやアプリなどから確認します。
■展着剤を活用
イチゴの葉の表面は、ワックスや毛状の組織で覆われており水を弾きやすいため、
水で希釈しただけの農薬は簡単には付着しません。そのためげんき農場では、基本的に展着剤を混ぜて農薬散布します。
展着剤は主成分の界面活性剤により、薬液の付着性や浸達性を高め、農薬の効果を一層安定させる働きがあります。
また商品によって特性が異なるため、場面によって使い分けます。
例)
・殺菌剤を植物体内に浸透させたいとき → 浸透性の高い展着剤
・気門封鎖剤を均一に付着させたいとき → 濡れ性の高い展着剤
■病害中の発生履歴と散布計画
病害虫が発生した日や天候を記録しておくと、来シーズンの栽培に役立ちます。
記録を参照しながら散布計画を立てることで、病害に予防効果のある農薬(予防薬)で先手を打つことができ、
また農薬を準備しやすくなるので、早急に病害虫への対処ができます。
強力な農薬は使用回数制限が1回や2回など少ないこともあるので、
ここぞというときの切り札として使用したいところです。各農薬の残効期間を逆算し、
うまく組み合わせて散布計画を立てることで、農薬の効果が大きく期待できます。
例えば、定植直前に強い農薬を散布することで、本圃にダニを持ち込まないといった工夫ができます。
なお、受粉にハチを利用する場合は、ハチへの影響日数を考慮して散布計画を立てます。
農薬によっては30日以上の影響日数があるため、定植後に使用する農薬は慎重に選択しましょう。
~さいごに~
今回は農薬に関する内容でしたが、農薬だけに頼らない総合防除(IPM)という取り組みで
減農薬を目指すことができます。げんき農場でも、防虫ネット、静電ノズル、UV-B、天敵利用、害虫用粘着板などといった
農薬以外での防除に取り組んできました。適切な農薬散布で、病害虫や薬害でのロスを減らして収量増加に繋げましょう!

