営農通信バックナンバー

2024.09.30

ミニトマト

【八街農場】この時期が重要!樹勢のコントロールについて (ミニトマト)

〇はじめに

こんにちは。げんき農場八街です。

定植から1カ月以上経ち、いよいよ収穫が始まりました。

厳しい残暑もようやく落ち着き、秋らしい気候となってきました。

これからの時期は樹勢のコントロール次第でシーズン全体の収量に大きな差が出てきます。

そこで、今回は初秋の樹勢コントロールについてご紹介します。


〇樹勢コントロールに関して


◆定植後の樹姿

理想

定植では、一番花の出蕾期あたりの生育旺盛な苗を使用します。草丈は約35cm程です。

定植後は、やや多めの灌水により根を活着させます。

9月から11月にかけて、徐々に暑さによる体力消耗が少なくなります。

そこで、生育バランスを生殖生長寄りに促し、併せて温度・水分管理により地下部を充実させます。

 

現状(生育調査から分かること)

定植時の苗は約4~50cmと、やや大き過ぎる苗を使用しました。


【写真1】左 定植の様子   

【写真2】右 発根した様子(定植から4日後)


定植後は、1週間毎に生育調査を実施し、生育バランス・草勢を観察しました。

生育バランス・草勢の判断基準は営農通信8月号に記載しております。↓

( https://www.sedia-green.co.jp/column/detail/18504.html )


 生育調査の結果より、下記の症状が確認されました。

 ①徒長傾向にある、葉が内巻きになっている

 ②茎径が細く樹勢が弱い

 ③一部品種で尻腐れの症状

①~③の原因を次で詳しく説明します。


◆葉面散布剤によるコントロール

散布前の状況

 ①節間が長く、葉が内側へ巻いている。【写真1, 2

 →高温による影響です。高温に養分吸収(蒸散)は活発に行われていますが、

  窒素の供給過多により過剰障害ででています。

 ②茎径が細い【写真1

 →日照不足、肥料不足、根域の障害等、様々な要因が考えられます。

 ③シシリアンルージュの一部で尻腐れの症状。【写真3

 →カルシウムが不足しています。

また、上記①~③に加え、葉色が薄く葉緑体形成に関する微量要素の不足が考えられます。


【写真1】左 節間・花梗が長く、茎径が細い様子   

【写真2】中央 窒素過多の症状。葉が内側に巻いており、葉柄が垂れている。

【写真3】右 シシリアンルージュで見られた尻腐れの症状。


矯正方法

・リン酸、カリウムのみ配合された液肥を葉面散布する。

 →窒素は入っていないため、植物体内で窒素比率を抑え、根の伸長、着果を促します。

  また、亜リン酸の形態の液肥は葉面や根からの吸収が早く、 

  植物体内で難溶性塩であるリン酸カルシウムが合成されにくいのも特徴です。

 

・微量要素入りカルシウム液肥を葉面散布

 →尻腐れの予防、葉緑体の合成促進目的で施用する液肥です。

  成分はカルシウムの他にもマグネシウム、マンガン、ホウ素、鉄が配合されている液肥をお勧めします。

  カルシウム、ホウ素は細胞壁合成に関与し、マグネシウム、マンガン、鉄は葉緑体合成に関与するため、 

  微量要素不足の改善にも役立ちます。

 

◆散布後の傾向

極端な栄養生長から改善傾向が見られ、節間が詰まってきました。

生長点-開花果房高も15cm未満の株が増え、生殖生長寄りに矯正できています。


今後も窒素は抑制気味に管理し、カルシウム供給は続けていきます。

また、萎れを出さないよう調整しながらも、水分供給を少しずつ控え、水分ストレスにより根の伸長を促していく予定です。

11月までに完全に生殖生長に傾けられるようにコントロールしていきます。

 

〇おわりに

長期多段栽培では、定植直後~11月までの管理はシーズン全体の収量に大きく影響してきます。

生育調査で現在の樹勢をしっかり把握し、理想の樹姿にできるよう早めの矯正を行っていきましょう。