営農通信バックナンバー

2022.07.25

ミニトマト

【八街農場】正しい農薬の選びかた・スケジュールの立て方(ミニトマト)

こんにちは。げんき農場 八街農場です。
長期多段取りの作型でミニトマトを栽培している私どもの圃場は先日、栽培を終了しました。
ここ数年、トマトの価格相場の流れから、既に新しい苗を定植し、
9月の高値の際に初出荷を合わせるといった作型も動き出していて、
同じ関東圏でも様々な作型が増えていることを感じる7月です。
 
さて、以前より「農薬利用方法について、実はあまり知らない」という声が有りましたので、
今回は農薬の正しい選び方、年間スケジュールの立て方について、書かせて頂きます。
基本的にトマト栽培での話になりますが、他の作物でも共通する内容も多く含まれます。
トマト以外を栽培されている方も、是非、ご一読頂けると幸いです。
 

農薬を使用する前に
まず、農薬の使用に関しては、安全性、コスト、人件費の面から、なるべく使わないことが求められます。
それでも発生する病害虫に対し、必要最小限の対処が必要になります。
げんき農場では、病害虫を持ち越さない、持ち込まないという観点から、
蒸し込み作業とハウス回りの除草に力を入れています。
蒸し込みの方法ですが、圃場内から害虫の住処になるものを取り去ります。
残渣は勿論ですが、ハウスの端の方や暖房機の裏側などに生えた草も徹底的に取ります。
次に培地の消毒の為、透明マルチを張ります。
この時、温度計を挿し、培地温が上がっている事を確認できるようにします。
前月号でもお伝えしましたが、培地温は50℃以上になるようにします。
(前月号も参考にして下さい https://www.sedia-green.co.jp/column/detail/18246.html

1.散布履歴を振り返る
農薬の散布は、早期発見、早期散布を行う事で、農薬の使用量の削減に繋がりますので、
多くの方が心掛けている所だと思います。
では、散布開始は実際にはいつ頃でしょうか。
近年は天候不順で病害虫の発生時期がずれてきているという話を聞きますが、
それでも夏の病害虫が、真冬に発生する事はありません。
昨年、もしくはそれ以前のご自身の圃場の防除履歴は、どの時期にどの病気が出るかの参考になり、
1年間の防除計画作成の指針になります。
 
【げんき農場 八街の場合】
8月~  定植後は高温の影響もあり、病害虫の発生は少ない
10月~ コナジラミ類の発生が見られ、殺虫剤を使用
11月~ 気温低下により灰色カビ病が発生、殺菌剤を使用
     一方で害虫の発生は少なくなり殺虫剤の使用は減る
3月~  暖かくなりコナジラミが発生、殺虫剤を使用
4月~  曇天の際に葉カビが発生、殺菌剤を使用
5月後半~  ハモグリバエの殺虫剤を使用
 
以上が年間の概ねの流れになります。
 
このように、散布履歴を見る事で、いつ頃、どんな病害虫が出ていたのか知る事が出来、
次作での散布計画の参考になります。 
オンシツコナジラミと葉カビ病

2.農薬の使用回数
年間の防除計画作成の上で、忘れてはいけないのは農薬の使用回数です。
ラベルの裏面にも記載があり、1作あたりの使用回数が厳しく制限されています。
この回数を超えてはいけない為、いくら効果がある農薬でも何回も撒く事はできません。
また、商品名が異なるのに、成分が同じ農薬というものも存在し、その場合は同一農薬としてカウントされます。
その為、栽培初期から農薬を使いすぎると、後半に使える農薬がないという事態になりますので、
やはり計画的に農薬を使う必要があります。

3.残効性と使用時期
農薬のラベルの裏面から読み取れる情報として、残効性があります。
具体的には「収穫何日前」という記述になっています。
長いものでは、30~45日というものもあり、このような農薬は収穫期には使用する事ができません。
ゆえに前半利用する農薬になります。
逆に「収穫前日」という記載がある農薬は収穫期でも使いやすいので、
収穫期まで温存したい農薬という事になります。
農薬のラベルの裏面

4.農薬使用回数にカウントされない農薬
先ほども述べたとおり、農薬には使用回数の制限があります。
この為、病害虫の発生が少ない、あるいは症状が軽度なタイミングでは、
農薬使用回数がカウントされない商品も使う事を検討して下さい。
げんき農場八街農場では、害虫の気門封鎖に効果のある「フーモン」「粘着くん」「サフオイル」の他、
殺菌剤として「カリグリーン」を使用しています。
これらの薬剤は、カウントされないので、発生している箇所のみに部分的に散布する際も利用しやすい資材です。
これらをうまく計画に入れていくと、回数制限での苦労が緩和します。
サフオイル

5.RACコードを参照する
RACコードとは、農薬の作用機構ごとに分類されたコードです。
例えば、『アセチルコリンエステラーゼ阻害剤』は番号が1で、その中の『カーバメート系』を1A、
『有機リン系』を1Bと分類されています。
同じ番号(機構作用)の農薬を連続して使用すると病害虫は
その薬剤に対する抵抗性を身につけてしまう場合があります。
そのため、年間防除計画を立てる際は番号が同じものの連用は避け、できるだけ期間を離すことで、
薬剤抵抗性のある病害虫が発生しにくくなります。
RACコードですが、国際基準に基づいたコードで、農薬工業会のホームページで確認することができます。
また、分かり易くまとめたものが、農文協のホームページにも記載されています。

6.マルハナバチ、天敵の導入時期への配慮
当然ではありますが、農薬は病害虫の他にも、マルハナバチや天敵にも影響があります。
マルハナバチや天敵のメーカーの資料で農薬の影響日数を確認する事ができます。
この点に考慮すると、影響日数の長い農薬は導入前の栽培初期に、
影響のない農薬は天敵導入後にという選択になります。
マルハナバチ

7.無理のない出荷管理
冬の農薬散布は乾きが遅い為、午前中から行います。
夏の農薬散布は高温による薬害の懸念から早朝もしくは日没前に行います。
しかし、実際には作業時間が制限されてしまうと他の作業とバッティングする事も多々あります。
つい出荷を優先するあまり、農薬散布が延び延びになってしまった経験のある生産者も多いと思います。
しかし、目先の利益よりも少し長い目で。
計画通り散布したおかげで、蔓延せず、結果的に農薬代が減るケースもあります。
農薬散布がある場合は、出荷に少し余裕を持たせ、融通の利く関係を出荷先と持つことも重要です。
以上、7項目を踏まえ、年間防除計画を立てる事で、必要な薬剤が見えてきやすくなり、
農薬の使用量も削減する事ができます。
やむを得ず追加で薬剤を使う際も、簡単に薬剤を選べるようになりますので、是非、実践してみて下さい。
 
次回は、定植後の肥培管理について、お届けします。


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